BF-TD588UV-JA 送信制限制御設定

BF-TD588UV-JAシリーズにはこれまでのBelFone製品や他のETSIに準拠したDMR無線機に搭載されている送信制御機能が搭載されています。

選択された管理方法によってはPTTを押下してから電波が送信開始されるまでにLBT (Listen Before Transmit)プロトコルでの制御によりタイムラグが生じます。

この制御に関してはETSIの5.2.1.6にて定義されておりBelFone製品は準拠しております。

ETSIの規定の解説

Ref:  ETSI TS 102 361-1 V2.6.1 (2023-05)

5.2.1.6 Transmit admit criteria

Where a MS has been solicited to transmit a response, it may transmit the response in the expected time slot irrespective of whether the channel is CS_Idle or CS_Busy. Additionally, while a MS is partied to a voice call, it may transmit irrespective of whether the channel is CS_Idle or CS_Busy with DMR activity pertaining to the same voice call. However, for all other situations, subscribers shall be configurable to employ the following levels of “politeness” on a channel:

  • Polite to all: The MS shall refrain from transmitting on a channel while the channel state is CS_Busy with other activity (either DMR or otherwise).
  • Polite to own Colour Code: The MS shall refrain from transmitting on the logical channel while the channel state is CS_Busy with other DMR activity containing the MS’s own (see note) Colour Code. For all other types of activity (including DMR activity containing a different Colour Code) already present on the channel, the
    MS shall transmit regardless.
  • Impolite: The MS shall transmit on a channel regardless of any other activity (either DMR or otherwise) already present on the channel.

NOTE: This refers to the Colour Code (CC) that the MS intends embedding in its own transmission.  On a given channel, not all features may be supported the same level of politeness. So for example, voice transmissions may be configured to be “impolite” while packet data transmissions are configured to be “polite”. Details of which levels of politeness are employed by which facilities are contained in ETSI TS 102 361-2 [5].

注: ETSIではColourで英国英語で表記されていますがBelFoneのCPS上ではColorでアメリカ英語の表記になっています。

 

LBTプロトコルでの各設定による動作をまとめると下記のようになります。

ETSI名称 BelFone CPS 動作
Polite to all Channel Free 移動局(MS)は当該チャンネルにてDMRモードを含む他のモードで通信が行われ、チャンネルビジー(CS_Busy)状態に於いては送信を行わない。
(チャンネルが空いていれば送信する)
Polite to own Colour Code Color Code Free 移動局(MS)は当該チャンネルにて自局と同じColor Codeの通信がDMRモードで行われている状態では送信を行わない。 異なるColor Codeやその他のモードでの通信がすでに行われている場合では制御せずそのまま送信を行う。
(自局のCCが空いていれば送信する)
Impolite Always 移動局(MS)は当該チャンネルにて既に行われている通信を考慮せずそのまま送信を行う。
(PTTが押下されれば送信する)

CS:  Channel State
LBT:  Listen Before Transmit

ETSI TS 102 361-2 [5]にて定義されている移動局の通信方式(ファシリティ)の設定により音声通信とデータ通信での詳細な制御が異なることがあります。

設定方法

チャンネル設定

Admit Criteriaはチャンネルごとに個別に設定します。

無線機設定プログラム にて設定したい[Channels] を開きます。

Admit Criteriaの項目で3つの選択肢から一つを選択します。

Channel Free
Color Code Free
Always

Color Code Freeが選択されている状態では、PTTが押下されると、制御により同一CCによる混信が無いか確認を行い、その後に送信が開始されます。 送信開始時にはビープ音が鳴り送信が開始されたことを確認できます。(ビープ音が消音設定でない場合)

画面にはPTTが押下された瞬間に先ず送信設定情報が表示されますが、同一CCの空線確認が完了し送信が実行されるまでPTTを押し続けてビープ音が吹鳴し、画面下部にレ点マークが表示され送信時間カウントが開始されます。 したがってこの間若干のタイムラグが生じます。

PTT短押しでは画面が表示されても空線確認制御が完了せず実際に送信されません。

Channel FreeやAlwaysの設定ではPTT短押しでも直後に送信が開始します。

SFR基地局のカーチャンクなどの際は、送信が開始されるまでPTTを押下する、またはチャンネル空線確認制御が不要な場合は他の設定に変更する等必要に応じて設定を変更願います。

注意

現在弊社の出荷するBF-TD588UV-JAにはDMRの特性・機能を活用した出荷時設定として、すべてのチャンネルにおいて「Color Code Free」が設定されています。

現在日本国内で普及しているDMR SFR基地局ではID装置を活用した運用が一般的です。 Color Code FreeやChannel Freeが設定されていない端末局(MS)によりマイクバック時などに送出されているID送信との同時送信が散見されます。 オペレーション上のスタンバイ・タイムの不足が原因ではありますが、せっかくのお話の頭が聞こえないのは残念なことと、将来のCC切り分け設定による周波数の有効利用やその他連携システムなどの活用に備え設定しております。

一方で隣接周波数からのキャリアや、特に144MHz帯での空線ノイズなどにより送信が出来ない状況を回避するためChannel Freeの設定にはしておりません。